人は野球に夢を見る. 貧乏球団オークランド・アスレチックスを常勝軍団に仕立て上げたビリー・ビーンのマネーボール理論. それは敗者を経験した者だからこそ唱えることのできる、統計学で弾き出していながら数字以上の奇跡が起こる、まさに野球が本当に好きな者にしか信じ抜くことのできない理論だと思います. 本当の野球好きと話すと必ず盛り上がる話題があります. それは脇役選手の活躍. イチロー選手のように走攻守3拍子揃った常に活躍を期待できる選手ではなく、一芸に秀でた地味でも野球好きを唸らせる小さな大仕事をしてくれる選手の活躍. 実はこれが野球の醍醐味でもあるんですよね. というのも野球は他の球技とは違い、個々に活躍できる好機が必ずやってくるスポーツ. 打順が回ってくればヒーローになれるチャンスが訪れ、守備範囲に打球が飛んでくればファインプレーの機会も訪れる. ですからどんな有名選手でも好機に打順が回ってこなければ活躍できない一方で、いくら無名選手でも好機に打順が回ってくれば活躍できる機会は確実に訪れる. 誰が、いつ、どんな活躍をするか分からない. この野球ならではの面白さがたっぷりと味わえるのが実は高校野球であったりもするんですよね. で、この映画で描かれている異端児GMのマネーボール理論はいうと、「出塁率」という一点に絞って他球団では評価の低い無名選手を集めてくる、古参スカウトから見ればバカげた理論. しかしそれは現役時代にスカウトの甘い言葉と金を積むだけの無責任さで敗者の気持ちを知るビリーだからこそ説得力のある、低評価という敗者を経験した無名選手たちに活躍の場を与え、勝者になるチャンスを与える理論でもあるんですよね. 野球はチームスポーツ. 誰かが活躍すれば、それが刺激となり誰もが勝者になるチャンスを求め、その相乗効果でチームが強くなっていく. 20連勝というア・リーグ記録に挑んだ試合. 11点差を追いつかれ、「自分が観戦した試合は負ける」というジンクスに苦しむビリーを救ったのはマネーボール理論でビリーに救われたハッテンバーグ. 誰もが予想しえなかった彼のサヨナラ本塁打こそ、まさに野球の面白さを凝縮した一打と言えるでしょう. 代打の神様、守護神、中継ぎのエース、左のワンポイント、盗塁のスペシャリスト. 野球は野村克也理論による分業制になってから、その面白みがさらに増したスポーツ. そして選手の起用法一つで貧乏球団が金持ち球団にいくらでも勝つことのできるスポーツ. 大金を叩いて獲得した日本人投手が活躍しなくても財政的に苦しくないようなボストン・レッドソックスがマネーボール理論でワールドシリーズを優勝しても何の意味もない. 広島東洋カープやオークランド・アスレチックスのようなチームが優勝することに意味があり、これらのチームが優勝を狙う時こそ「人が野球に夢を見る」時であり、そしてチームの垣根を越えて全ての野球ファンが野球の醍醐味を味わう時なんでしょうね. 深夜らじお@の映画館 は現役時代の中村豊選手の活躍を語れない者に阪神ファンを名乗る資格なしと思っています.
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1. 無題